一般会計における単年度収支額が約48億円のマイナス(赤字)であった令和4年度決算を踏まえて作成された「西宮市財政構造改善基本方針」ですが、以下のリンクからダウンロードできます。
方針の中に1行だけ記載されている「人件費の抑制」について、200人程度の削減、年20億円近く人件費の抑制という考えを市長が示したとのこと。
退職不補充で対応するとありますが、令和4年度の正規職員の退職者が152人。採用は133人なので、採用を40人減らすことで、人数だけであれば5年間で200人の削減が可能となります。
市長が言うからには根拠があってのことだと思います。厳しい道のりであっても、西宮市の長年の課題である、経常経費に占める人件費率の高さが将来に渡って解消されることで、その結果、住民福祉の増進を図るための財源となるのであれば、応援したいと思います。
13日の金曜日14時からの定例記者会見で方針について説明があります。生中継はないですが、後日インターネットでも公開されるので、詳細は改めて。
==========
さて、本題の教育こども常任委員会での協議事項の1つ「西宮市学校施設包括管理業務委託の検討について」の報告です。
簡単に説明すると、63ある学校施設の維持管理に関する業務を、元請けとなる事業者が一括して担うことで、民間事業者のノウハウを生かした管理品質の向上や、職員の事務負担軽減などの効果につながります。
市の資料によると、コスト面においても一見すると委託することで人件費が削減されるように感じます。
ただし、これは学校の管理や施設保全に関する業務に限ったコストイメージです。市全体でのコストイメージ(渡辺作成)は次のようになります。
学校管理や施設保全に関する業務に携わる人員は11人から6人に減ることとなります。しかし、市全体でみると、減った5人は市の他の課へ異動するため、異動先の課の超過勤務が減少することはあっても、人件費削減効果は委託費として想定される4000万円に見合う額には及びません。
職員の総数が減らないのであれば、
・委託業者の努力による修繕費や維持管理費の削減
・超過勤務手当削減
などを合わせて、市全体として最低でも4000万円以上の削減という成果指標が必要です。
そうでなければ、
・委託費の分歳出が増ました
でも、
・職員が持つこの業務のノウハウは失われました
とデメリットだけが残ることとなります。
課内やその業務という範囲内で見るのではなく、市全体での歳出の変化と市民サービスの質向上という観点で業務委託について検証する必要があると考えます。